生き物文化誌学会とは?

「生き物文化誌学会」は、「生き物」についてのさまざまな知見を得て、さらにそれらの「生き物」が人間文化とどのように関わっているのか、その物語を調べていくことを目的としています。

本学会には、大きく3つの特徴があります。第1は、ここであつかう「生き物」は、一般の生物だけでなく、伝承の河童(かっぱ)や鬼のような「生き物」までを含みます。

第2には、「生き物」と、私たち「人」が日々の生活のなかでどのように接し、どのように関わっているかを考究します。そして3つ目として、学者や研究者だけの学会ではなく、「生き物」とその文化に興味をもつ人が参加出来る集まりなのです。

近年、ヒトを含む多くの生物で、ゲノム(遺伝子の総体)の情報解読が進み、成長や老化、発病機構を解明する新技術も次々開発されるなど、生物学は著しい発展をとげ、私たちの目にも日常的に触れられるようになりました。このことは誠に喜ばしいことなのですが、その一方、かつては日常だった「生き物」と人との有機的な関係は薄れてきてしまっているようにも思われます。

人は人だけでは生きていくことができません。人は、地球上の「生き物」を食し、暮らしのなかでさまざまに利用してきました。直接的な利用だけではありません。植物は酸素を供給し、人の活動で排出される二酸化炭素や有害物質を吸収し、森は水を保ち気温を安定させてくれるなど、人は環境面でも「生き物」から多くの恩恵を受けています。そして、森は動物を養い、動物は植物の受精や種子の散布を助けます。「生き物」はたがいに関わりあい、地球の環境を保っているのです。

また、人と「生き物」は日常生活と結びついた実用面以外にも、神話、伝説、民話などの伝承や、シンボル、文学や芸術などの精神的・表象的な文化に深く関わりをもっています。繭玉(まゆだま)、鯉のぼり、虹蛇、招き猫、犬張り子など、皆様が思いつかれるものも多々あることでしょう。このように、人と「生き物」のつながりはきわめて深く多様です。そこには先人や世界中の民族が長年にわたって築きあげてきた「智」がこめられています。もちろん、それらの智のなかにおける「生き物」間の関わりもまた、地球環境の面から、大きな意義をもっていることは申すまでもありません。

私たちは、地域から日本、さらに地球全体に関わるさまざまな次元で、「生き物」をめぐる豊かな智と情報の発掘、つまり「生き物文化誌」の探求、共有、発信をめざしています。児童・生徒の皆さんをはじめ、多分野の方々に加わっていただき、一緒に未来につながる「生き物文化誌学」を広めて行きたいと願っています。

 

学会活動